更新日:2024.08.30
弁護士は、養育費の未払いで困っている人のチカラになれますが、弁護士費用の面で悩まれる方も少なくありません。
そこで、この記事では、調停を起こした場合や、公正証書を作成する場合、強制執行をする場合などの、未払い養育費の回収に伴う費用相場をご紹介します。
養育費とは、子どもの監護や教育のために必要な費用のことをいいます。離婚によって親権者でなくなった親であっても、子どもの親であることに変わりはありません。当然、親として養育費の支払義務を負います。
しかし、厚労省の調査によれば、母子家庭の子どもの約7割は養育費を受給できていません。(参考:令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果の概要(厚生労働省))
養育費の取り決めは、本人同士だとはぐらかされてしまったり、誠実に対応してもらえなかったりなどで、最終的には弁護士に相談・依頼せざるを得ないといったケースが多いように感じます。
弁護士の費用相場をご紹介する前に、まずは、弁護士へ依頼する際の一般的な費用体系をご説明します。
弁護士へ相談・依頼する場合、次の4種類の費用が必要となります。
平成16年3月まで弁護士費用は一律でした。しかし、現在、弁護士費用は自由化され、各弁護士(法律事務所)が自由に料金を設定することができます。
自由化された現在も、多くの事務所は、かつて日本弁護士連合会が定めていた報酬基準(以下、「旧日弁連基準」といいます。)、もしくは近い基準で料金を設定しています。
したがって、相場=旧日弁連報酬基準であるといえます。
旧日弁連基準に従った場合、各々の金額はおおむね次のとおりです。
相場:30分あたり5000円~1万円
しかし、初回相談の場合や、紹介による場合、または注力している類型の案件の場合には、法律相談は無料という弁護士もいます。
調停などをする場合の着手金相場:16万円前後(経済的な利益の額300万円と仮定)
しかし、注力する一定の類型の案件については、着手金無料という弁護士もいます。
旧日弁連基準では、手続きの内容ごとに金額が定められており、やや複雑になるのですが、以下のように定められています。(一部、わかりやすいように文章を改変して加筆)
■訴訟事件(手形・小切手訴訟事件を除く)・非訟事件・家事審判事件・行政事件・仲裁事件について
事件の経済的な利益が
■調停事件及び示談交渉事件
訴訟事件等の着手金の額に準ずる。ただし、それぞれの額を3分の2に減額することができる。
※示談交渉から調停、示談交渉または調停から訴訟その他の事件を受任するときの着手金は、訴訟事件等又は督促事件の額の2分の1。
※着手金の最低額は10万円
調停などをした場合の報酬金相場:32万円前後(経済的な利益の額300万円と仮定)
成功報酬についても、旧日弁連基準では、手続きの内容ごとに金額が定められており以下のように規程されています。
■訴訟事件(手形・小切手訴訟事件を除く)・非訟事件・家事審判事件・行政事件・仲裁事件
事件の経済的な利益が
■調停事件及び示談交渉事件
訴訟事件等に準ずる。ただし、それぞれの額を3分の2に減額することができる。
※示談交渉から調停、示談交渉または調停から訴訟その他の事件を受任するときの着手金は、訴訟事件等又は督促事件の額の2分の1
実費相場:数万円
実費に関しては、印紙・郵送費や交通費などがこれにあたりますので、数万円以内に収まるケースが多いですが、出張や宿泊が必要な場合などは、高額になるケースがあります。
弁護士費用は、大きく分けると①法律相談料、②着手金、③成功報酬、④実費の4種類にカテゴライズされ、かつては一律であったものの、現在は自由化されているということをご説明させていただきました。
実は、少ない割合ではありますが、①法律相談料や、②着手金については、無料で対応してくれる弁護士もいます。
特に、①法律相談料や、②着手金というのは、万が一、養育費の回収ができなかった場合でも支払う必要のあるお金であり、返金されないという性質があるため、弁護士に依頼する人にとっては大きなリスクになりますが、この2つの費用の支払いがなければ、少なくとも回収できなかった際の負担は大いに軽減されることになります。
したがって、万が一養育費の回収が成功しなかった際のリスクを負いたくないという方や、手元の資金に余裕がない方などは、①法律相談料や、②着手金を無料で対応してくれる弁護士を選ぶといいでしょう。
ちなみに、当事務所が独自に、ランダムで抽出した30事務所の報酬体系の調査結果は以下のとおりです。
約3割の法律事務所が昔ながらの料金体系で、①法律相談料、②着手金、③成功報酬、④実費の4種類の費用を必要とするようです。
そして、半数以上の法律事務所では、法律相談は無料ですが、その他②着手金、③成功報酬、④実費の3種類の費用が必要とするようです。
当法律事務所だけが、万が一、養育費の回収ができなかった場合でも、金銭的なリスクなく相談・依頼ができるという結果になりました。
ぜひご相談をお考えの方におかれましては、色々な法律事務所の報酬体系を見ていただければと思います。
公正証書作成の弁護士費用相場:8万円~13万円前後
+公正証書作成費用:11,000円
(経済的な利益の額(養育費の総額) 300万円と仮定。また、公正証書の内容は定型的なものと仮定)
■契約書類及びこれに準ずる書類の作成
定型的なものの場合
事件の経済的な利益が
非定型なものの場合
事件の経済的な利益が
目的価額(養育費の総額) 手数料
養育費請求調停着手金相場:16万円前後(経済的な利益の額300万円と仮定)+実費
養育費請求調停報酬金相場:32万円前後(経済的な利益の額300万円と仮定)+実費
調停事件及び示談交渉事件
訴訟事件に準ずる。ただし、それぞれの額を3分の2に減額することができる。
※示談交渉から調停、示談交渉または調停から訴訟その他の事件を受任するときの着手金は、訴訟事件又は督促手続事件の額の2分の1
※着手金の最低額は10万円
■訴訟事件(手形・小切手訴訟事件を除く)・非訟事件・家事審判事件・行政事件・仲裁事件(着手金)
事件の経済的な利益が
■訴訟事件(手形・小切手訴訟事件を除く)・非訟事件・家事審判事件・行政事件・仲裁事件(報酬金)
事件の経済的な利益が
強制執行着手金相場:12万円前後(経済的な利益の額300万円と仮定)+実費
強制執行報酬金相場:12万円前後(経済的な利益の額300万円と仮定)+実費
民事執行事件
※本案事件と併せて受任したときでも本案事件とは別に受けることができる。この場合の着手金は、訴訟等の事件の3分の1
※着手金の最低額は5万円
■訴訟事件(手形・小切手訴訟事件を除く)・非訟事件・家事審判事件・行政事件・仲裁事件(着手金)
事件の経済的な利益が
■訴訟事件(手形・小切手訴訟事件を除く)・非訟事件・家事審判事件・行政事件・仲裁事件(報酬金)
事件の経済的な利益が
いかがでしたでしょうか?
気になる弁護士費用の相場感について、ご説明させていただきました。
なお、こちらで示した相場感については、あくまでも経済的利益の額を300万円と仮定した前提での相場感であること、また、現在は弁護士費用は自由化されていることから、各事務所によって報酬規程は違うことから、必ず、依頼前に、相談した弁護士に着手金や報酬金にの内容をご確認いただければと思います。
当事務所の未払い養育費の回収には、大きく分けて5つの特徴があります。
養育費の回収にお悩みの場合は、ぜひ、お気軽にお問合せくださいませ。