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弁護士解説┃養育費は、いくら貰える?相場は?年収400万円、800万円、1000万円などケース別にも解説

弁護士解説┃養育費は、いくら貰える?相場は?年収400万円、800万円、1000万円などケース別にも解説イメージ画像

更新日:2024.08.30

離婚をしようと考えたとき、不安になる点のひとつが、子供の養育費ではないでしょうか。養育費の金額は、相手の年収とあなたの年収、子どもの人数や年齢によって変わってきます。

そこで、今回は、相手方の年収別(400万円、600万円、800万年、1000万円)など具体的なケースとともに、弁護士が解説いたします。

養育費の定義と、養育費の全体平均と相場感

そもそも、養育費とは、どのような性質のものを指すのでしょうか?
裁判所は、ウェブサイトで、次のように定義しています。

-----------------

養育費は、子どもが健やかに成長するために必要な費用です。
両親がその経済力に応じて養育費を分担することになります。
離婚した場合であっても、親であることに変わりはなく、子どもの養育に必要な費用を負担しなければなりません。
子どもと離れて暮らす親は、直接養育に当たっている親に対し、養育費の支払義務を負います。
裁判所ウェブサイトより

つまり、子どもと離れて暮らす親は、養育費を支払う義務があるということとなります。
また、この養育費の金額は、養育費を支払う親と同レベルの生活を保障することとなりますので、養育費の金額は、子どもの養育に最低限必要な金額ではなく、親の収入によって決まるという仕組みになっています。

養育費の実際の支払金額の月額平均は、統計上、以下のようになっています。

母子世帯平均養育費:50,485円/月
父子世帯平均養育費:26,992円/月


しかし、この金額はあくまで統計上の数値であるため、実際にこの記事を読んでくださっている皆さまご自身の状況に当てはめて、計算する必要があります。

養育費の算定(計算)に影響する要素

養育費の金額を計算する際には、さまざまな要因を考慮しなければなりません。
具体的には、次のような事項を考慮し、計算します。

1. 子どもの年齢
子どもの年齢は、0歳?14歳、15歳以上の大きく2通りに分けて考えられます。

2. 子どもの人数
子どもの人数が多いほど、養育費は高くなります。これは、複数の子どもを養育するには、それだけ多くの費用が必要となるためです。

3. 父母の年収
年収が高い場合、これに伴い養育費の金額は高くなります。親は、子どもに自分と同レベルの生活水準を提供する義務があるためです。

4.子ども(養育する親)の居住地
地域の物価等が考慮されるため、都市部の方が養育費も高くなります。

5. 子どもの養育状況
子どもが私立学校に通っている場合や、習い事をしている場合などは、養育費が高くなる傾向にあります。

6. その他の要素

  • ・住宅ローンなどの借金がある場合
  • ・婚姻期間
  • ・家事分担状況
  • ・健康状態

具体的な養育費の算定(計算)方法

具体的な養育費の算定(計算)は、裁判所のウェブサイトでも公開されている、「養育費算定表」を使って計算します。(なお、「養育費算定表」以外にも、標準的算定方式による具体的な金額の算出も可能です)
この算定表は、「養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究」をテーマに、東京及び大阪の家庭裁判所所属(当時)の裁判官を研究員とする司法研究の結果を踏まえ、令和元年に改定されたものです。

クリックして裁判所のウェブサイトで算定表を確認する

クリックすると、算定表がいくつかありますが、子どもが1人~3人、子どもの年齢が0歳~14歳、または15歳以上に分かれているので、ご自身の状況にあったものを選択してください。具体的な見方は、次のセクションでご説明いたします。

算定表┃裁判所ウェブサイト

具体的な、養育費算定表の見方

養育費算定表を用い、次の4つのステップを経ることで、正しい金額を算定することができます。

STEP1:利用する養育費算定表の選択
STEP2:権利者と義務者の年収の計算
STEP3:表の見方┃縦軸と、横軸の意味について
STEP4:具体的な金額の算定

以下で、詳しく説明いたします。

STEP1:利用する養育費算定表の選択

養育費算定表は子の人数(1~3人)と年齢(0~14歳と15歳以上の2区分)に応じて表1~9に分かれています。
まずは、この中から、あなたと最も近い状況の表を選択します。

STEP2:権利者と義務者の年収の計算方法

義務者と権利者、両方の年収を計算します。
各々に注意点がありますので、以下の点を考慮して計算してください。

・義務者について(養育費を支払う側┃多くの場合、夫側)

ア)給与所得者(サラリーマン)の場合、源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)が年収に当たります。
なお、給与明細書による場合には、それが特定の月の月額にすぎず、歩合給が多い場合などにはその変動が大きく、かつ、賞与・一時金が含まれていないことに留意する必要があります。
また、他に確定申告していない収入がある場合には、その収入額を支払金額に加算して給与所得として計算してください。

イ)自営業者の場合、確定申告書の「課税される所得金額」が年収に当たります。
なお「課税される所得金額」は、税法上、種々の観点から控除がされた結果であり、実際に支出されていない費用(例:基礎控除。青色申告控除、支払がされていない専従者給与など)を「課税される所得金額」に加算して年収を定めることになります。

・権利者について(養育費を貰う方┃多くの場合、妻側)

児童扶養手当や児童手当は子のための社会保障給付であることから、権利者の年収に含める必要はありません。 同じく、生活保護費についても、権利者の年収に含める必要はないと考えられています。

なお、義務者、権利者いずれのも場合に共通しますが、実際に働いていない場合であっても、就労に支障を来す事情(持病、精神病等)がない場合には、「潜在的稼働能力」により、働いていれば得られるであろう収入が認定される場合があります。

STEP3:表の見方┃縦軸と、横軸の意味について

・縦軸は養育費又は婚姻費用を支払う側(義務者(多くの場合夫))の年収
・横軸は支払を受ける側(権利者:未成年の子がいる場合には、子を引き取って育てている親)の年収を示すという構造になっています。

※縦軸の左欄と横軸の下欄の年収は、給与所得者の年収を示しています。
※縦軸の右欄と横軸の上欄の年収は、自営業者の年収を示しています。

STEP4:具体的な金額の算定

表の権利者及び義務者の収入欄を給与所得者か自営業者かの区別に従って選び出します。
縦軸で義務者の年収額を探し、そこから右方向に線をのばし、横軸で権利者の年収額を探して上に線をのばします。
この二つの線が交差する欄の金額が、義務者が負担すべき養育費の標準的な月額を示しています。
次のセクションでは、義務者の年収別に、養育費算定表を用いて計算した、おおまかな相場をご紹介いたします。

参考:養育費・婚姻費用算定表について

養育費はいくらになる?┃義務者(養育費を支払う人)の年収が400万円の場合

養育費算定表┃裁判所ウェブサイトより

子ども1人で、親が会社員の場合(親の年収400万円)
・子どもが0~14歳:2万円~6万円
・子どもが15歳以上:2万円~8万円

子ども1人で、親が自営業者の場合(親の年収400万円)
・子どもが0~14歳:2万円~8万円
・子どもが15歳以上:4万円~10万円

子ども2人で、親が会社員の場合(親の年収400万円)
・第1子、第2子ともに0~14歳:2万円~8万円
・第1子が15歳以上、第2子が0~14歳:4万円~10万円
・第1子、第2子ともに15歳以上:4万円~10万円

子ども2人で、親が自営業者の場合(親の年収400万円)
・第1子、第2子ともに0~14歳:4万円~12万円
・第1子が15歳以上、第2子が0~14歳:4万円~12万円
・第1子、第2子ともに15歳以上:4万円~12万円

養育費はいくらになる?┃義務者(養育費を支払う人)の年収が600万円の場合

養育費算定表┃裁判所ウェブサイトより

子ども1人で、親が会社員の場合(親の年収600万円)
・子どもが0~14歳:2万円~8万円
・子どもが15歳以上:4万円~10万円

子ども1人で、親が自営業者の場合(親の年収600万円)
・子どもが0~14歳:4万円~12万円
・子どもが15歳以上:6万円~14万円

子ども2人で、親が会社員の場合(親の年収600万円)
・第1子、第2子ともに0~14歳:4万円~12万円
・第1子が15歳以上、第2子が0~14歳:6万円~12万円
・第1子、第2子ともに15歳以上:6万円~14万円

子ども2人で、親が自営業者の場合(親の年収600万円)
・第1子、第2子ともに0~14歳:6万円~16万円
・第1子が15歳以上、第2子が0~14歳:8万円~16万円
・第1子、第2子ともに15歳以上:8万円~18万円

養育費はいくらになる?┃義務者(養育費を支払う人)の年収が800万円の場合

養育費算定表┃裁判所ウェブサイトより

子ども1人で、親が会社員の場合(親の年収800万円)
・子どもが0~14歳:4万円~12万円)
・子どもが15歳以上:6万円~14万円

子ども1人で、親が自営業者の場合(親の年収800万円)
・子どもが0~14歳:6万円~14万円
・子どもが15歳以上:8万円~18万円

子ども2人で、親が会社員の場合(親の年収800万円)
・第1子、第2子ともに0~14歳:6万円~16万円
・第1子が15歳以上、第2子が0~14歳:6万円~16万円
・第1子、第2子ともに15歳以上:8万円~16万円

子ども2人で、親が自営業者の場合(親の年収800万円)
・第1子、第2子ともに0~14歳:10万円~20万円
・第1子が15歳以上、第2子が0~14歳:10万円~22万円
・第1子、第2子ともに15歳以上:10万円~24万円

養育費はいくらになる?┃義務者(養育費を支払う人)の年収が1000万円の場合

養育費算定表┃裁判所ウェブサイトより

子ども1人で、親が会社員の場合(親の年収1000万円)
・子どもが0~14歳:6万円~14万円
・子どもが15歳以上:6万円~16万円

子ども1人で、親が自営業者の場合(親の年収1000万円)
・子どもが0~14歳:10万円~18万円
・子どもが15歳以上:10万円~20万円

子ども2人で、親が会社員の場合(親の年収1000万円)
・第1子、第2子ともに0~14歳:8万円~20万円
・第1子が15歳以上、第2子が0~14歳:8万円~20万円
・第1子、第2子ともに15歳以上:10万円~22万円

子ども2人で、親が自営業者の場合(親の年収1000万円)
・第1子、第2子ともに0~14歳:12万円~24万円
・第1子が15歳以上、第2子が0~14歳:14万円~26万円
・第1子、第2子ともに15歳以上:14万円~28万円

養育費を受け取れている母子家庭世帯はわずかであり、約28%だけ

厚生労働省の「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によれば、養育費を受給している母子世帯の母は28.1%となっています。
つまり、70%以上の母子世帯では、養育費を受け取れていない状況です。

これは、子を育てる女性の貧困に繋がるほか、国全体としてみると、子ども達が教育をうける機会を逸することにも繋がる由々しき事態であるといえます。

この要因のひとつと考えられているのが、 離婚前に養育費の取り決めをしていないという点です。
先ほどご紹介した、全国ひとり親世帯等調査結果報告によれば、取り決め状況は、母子世帯の母では、「取り決めをしている」が 46.7 %と、半数以下となっています。

養育費の取り決めをしない理由としては、
・相手と関わりたくない
・相手に支払う意思がないと思った
・相手に支払う能力がないと思った
・相手に養育費を請求できることを知らなかった
などの理由があげられています。

しかし、冒頭でご紹介したとおり、法律上も養育費の支払は義務となっています。

離婚前に養育費の取り決めをしていなかった場合でも、離婚後も養育費の請求は可能

意外と多くの方が、一度養育費の取決めをせずに離婚をしてしまうと、その後に養育費を請求することができないと思われています。
しかし、子どもが経済的に自立するまでは、毎月、養育費を請求する権利が発生しています。

また、相手が話し合いに応じない場合には、調停や審判の手続きをすることができ、条件を満たせば、最終的に、相手の給料を差し押さえることもできます。(相手の給与の手取り額(額面給与から税金・社会保険料・通勤手当等の控除分を差し引いた金額)の2分の1まで)

トラブルを予防する養育費の決め方

養育費に関するトラブルを防ぐためには、将来に渡って必要な費用を予め想定して決めておくことが必要となります。

月額の養育費のほか、以下のようなことがらについても事前に決めておくとよいでしょう。

・小学校の入学一時金
・小学校卒業までの費用
・中学校の入学一時金
・中学校卒業までの費用
・高校の入学一時金
・高校卒業までの費用
・最終学歴卒業まで
・大学などの受験費用
・大学などの入学金
・大学の授業料

また、振込先については、「◯◯銀行 ◯◯支店 名義◯◯」に、支払手数料は◯◯が負担し、毎月◯◯日に振り込みをすることのように具体的に決めておくことが必要です。

養育費に関する注意点と3つの具体的な対策

養育費に関するトラブルは、大きく分けて次のようなパターンがあります。
・そもそも、養育費が支払われない
・養育費の支払はあるが、学校の入学金など、必要なときに必要な金額が不足する
・当初は支払があったが、あるときから支払がとまってしまった
このようなトラブルを防ぐには、具体的には、次のようなことをやっておく必要があります。

養育費のトラブルを防ぐには、
・養育費について正しく取り決めをすること
・取り決めを書面などにして明確にしておくこと
・万が一に備えて、公正証書などを活用すること
がポイントです。

ただ、これを法律を一から勉強して正しく行うには、ハードルが高いと言えるでしょう。
よく分からない場合や、不安がある場合は、弁護士に依頼してしまった方が良いと言えるでしょう。

まとめ┃ホライズン法律事務所について

いかがでしたか?養育費は、いくら支払って貰えるかを、統計や算定(計算)方法をご紹介し、具体的な金額をご紹介させていただきました。

一方で、社会全体で見ると、きちんと養育費を支払って貰えている母子家庭は、わずか約28%に過ぎず、課題があることをご紹介させていただきました。
このような養育費の未払いを防ぐには、弁護士に依頼するという解決策があります。

私たち、ホライズン法律事務所は、未払養育費の問題を社会課題であると捉え、この問題を解決することに注力しております。

ホライズン法律事務所の未払い養育費に関する5つの特長

  • 相談が無料でできること
  • 万が一、養育費の回収ができなかった場合、ゼロ円(無料)で済むこと
  • 1200人以上の、ひとり親の皆さまに寄り添い、養育費を回収し、お渡ししてきた実績があること
  • スマホのみでおおむね完結でき、忙しくても問題がないこと
  • 元配偶者との交渉を弁護士に一任できること

当事務所は、無料でご相談いただけ、金銭リスクがございませんので、ぜひ、お気軽にご相談くださいませ。