ホライズン法律事務所 代表弁護士
東京弁護士会所属
更新日:2025.07.09
離婚や別居で親が暮らしを分けても、養育費と面会交流はともに「子どもの健全な成長」を支える大切な仕組みです。ところが現実には、面会交流のトラブルや元配偶者への感情対立を理由に「面会させてもらえないから養育費の支払を拒否する」「養育費が未払いだから面会を拒む」といった"バーター"が少なからず発生しています。
その結果、養育費の受給状況は深刻な状態です。厚生労働省の最新調査(令和3年度 全国ひとり親世帯等調査)によると、母子世帯で「現在も養育費を受け取っている」割合はわずか28.1%。言い換えれば約7割の家庭が未払いのまま生活していることになります。父子世帯では8.7%にとどまり、さらに厳しい実態です。
養育費の支払いが途絶えると、衣食住や学費など子どもの生活基盤が直撃を受けます。一方、面会交流が途絶えれば、子どもの精神的安定や親子関係の形成に影響が出かねません。にもかかわらず、両者を「交換条件」のように誤解する声は根強く、「養育費 支払い拒否」や「面会交流 拒否」を巡る紛争が後を絶ちません。
本記事では、以下の内容を体系的に解説します。
・養育費と面会交流が法律上「別問題」である根拠
・支払い拒否が起きる背景と最新データ
・拒否を防ぐための具体的な法的・実務的対策
「支払ってもらえない…」「面会させてもらえない…」と悩む保護者の方はもちろん、これから取り決めを考える方もぜひ参考にしてください。養育費と面会交流の切り分けを正しく理解し、トラブルを未然に防ぐ具体策を一緒に確認していきましょう。
養育費は、離婚後や未婚のまま別居した父母の一方が、子どもの衣食住・教育・医療など生活全般を支えるために負担すべき金銭です。法的根拠は民法760条(婚姻中の生活保持義務)と同766条1項(離婚後の監護費用分担)にあります。離婚時には「監護の方法」や「分担すべき費用」などを協議し、合意できなければ家庭裁判所で調停を行い、それでも決まらない場合は、審判において裁判所が養育費の金額を定める仕組みになっています。
金額の目安を協議だけで決めるのは難しいため、実務では東京・大阪家庭裁判所が公表した『養育費・婚姻費用 改定標準算定表』(令和元年12月23日公表)が広く使われます。算定表は縦軸=義務者の総収入(源泉徴収票の「支払金額」等)、横軸=監護親の総収入、子どもの人数・年齢を入力するだけで月額帯を示す仕組みです。
例:義務者の総収入:500万円
監護親の総収入:300万円
子ども未就学児1人の場合
改定標準算定表「養育費・子1人表(子0~14歳)」では、月額4~6万円と示されています。
※出展:養育費・婚姻費用算定表
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file5/youiku-1.pdf
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弁護士解説┃養育費は、いくら貰える?相場は?年収400万円、800万円、1000万円などケース別にも解説
標準算定表は「義務者・義務者の税込み年収」「子の人数と年齢」というシンプルな指標で目安額を提示しますが、私立進学や持病による医療費負担など特別な出費がある場合は、表の範囲を超えて協議・調停等で加算可能です。
養育費をいつまで支払ってもらうかという問題に関して、従来は、「子どもが成人するまで」といった取決めが多かったのですが、成年年齢の引き下げや、進学方法の多様化も進んでいることから、「18歳から20歳まで延長」「大学在学中も支払う」「大学院の費用まで支払う」「海外留学した場合の費用も支払う」などのように、条項を細かく追加する必要性が高まっています。契約自由の原則があるため、標準算定表をベースにしつつ、子の将来を見越した設計をすることが重要です。(多くの場合、親の学歴等を参考にしているケースが多いです。)
面会交流は、離れて暮らす親と子どもが定期的に会ったり連絡を取り合ったりして親子関係を保つ仕組みです。2012年施行の改正民法により766条1項に「父又は母と子との面会及びその他の交流」が明記され、協議離婚の際に必ず取り決めるべき事項となりました。同条はあわせて「子の利益を最も優先して考慮」することを求めています。
※出展:近時の律法の動き
https://www.sn-hoki.co.jp/shop/f/img/items/pdf/sample/50853.pdf
国際的にも子どもの権利条約9条3項が「父母と定期的な人的関係および直接の接触を維持する権利」を保障しており、立法・運用の基盤は一貫して"子どもの最善の利益(Best Interests of the Child)"です。
家庭裁判所実務では、暴力・虐待・連れ去り等の特段の事情がない限り原則として面会交流を認める運用がとられています。取り決めは以下の三段階で行われます。
1. 父母の協議(この段階で決まる場合は、協議書を作成し公正証書化することが望ましい)
2. 家庭裁判所調停
3. 審判(裁判官による強制力ある判断)
頻度・場所・連絡手段(オンライン・手紙など)まで具体的に定めることがトラブル防止の鍵となります。
面会交流ができない場合でも、養育費の支払義務はある「面会させてもらえないなら養育費を払わない」「養育費が未払いだから面会を拒む」といった主張は珍しくありません。しかし法的には、養育費は親が負う「義務」(民法760条・766条)、面会交流は親子が持つ「権利」(民法766条1項)という別個の性質を持ちます。
家庭裁判所は一貫して「面会交流を拒まれても養育費の支払い義務は消えない、逆も同じ」と説明しています。実際にバーター取引を試みれば、以下のような手続きに発展し、双方にとって損失しか残りません。
・養育費...給与差押えなどの強制執行
・面会交流...履行勧告等
誤解が広がる背景には、「養育費を払う=子どもに会える権利を"買っている"」という感情的な連想や、SNSなどで拡散される真偽不明の体験談が挙げられます。しかし複数の公的調査では、面会交流がスムーズに続いている家庭ほど、養育費の支払いも途切れにくいという傾向が一貫して報告されています。面会交流と養育費は法律上まったく別の問題であることを正しく理解し、両者を結び付けた"バーター"を避けることが、支払い拒否リスクを抑える第一歩です。
ポイント
・養育費=義務/面会交流=権利─性質が異なるため相殺は不可
・子どもの最善の利益を守る観点から、バーター取引は裁判所判断でも不利
・正しい知識を共有し、合意内容を公正証書や審判で文書化することが「養育費の支払い拒否」「面会交流の拒否」を未然に防ぐ近道
厚生労働省が公表した「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査」の速報値によれば、以下のような状況が報告されています。
・現在も養育費を受けている・・・・・28.1%
・養育費を受けたことがある・・・・・14.2%
・養育費を受けたことがない・・・・・56.9%
・不詳・・・・・・・・・・・・・・・0.8%
全体像としては、約7割の母子世帯が養育費の未払いに直面しているという状況です。さらに、養育費を受けたことがあるという回答も一定あることから、当初は養育費を受給していたが、その後、養育費の支払い拒否に遭ってしまった方も多くいらっしゃることがみてとれます。また、同調査では、取り決めそのものがない世帯が母子で53.3%、父子で71.7%にも上ることも判明しました。
未払い率の高さは家計に直結します。令和3年度調査によると、母子世帯の平均年間収入(母自身の収入)は272万円で、全国の全世帯平均所得(524.2万円)のおよそ半分にとどまります。養育費が途絶えれば月数万円規模の減収が直ちに家計を直撃する構造です。児童扶養手当や就学援助で補完しても限界があるため、「養育費 支払い拒否」が貧困リスクを拡大する負の連鎖が問題視されています。
※出典:2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa23/dl/10.pdf
こども家庭庁などは2023年4月、「2031年度に全体の養育費受領率を40%、養育費の取り決めをしている世帯の受領率を70%に引き上げる」というKPIを設定しました(母子・父子で個別の数値設定はなし)。公正証書作成支援や強制執行手続きの簡素化が進められていますが、現状(2021年時点の受領率28.1%)とはまだ大きなギャップがあります。
※出展:養育費受領率の達成目標について
https://www.gender.go.jp/research/youiku/pdf/youiku.pdf
金銭的事情だけでなく、面会交流を巡る葛藤が未払いにつながるケースが目立ちます。調査によれば、面会交流を「現在も行っている」割合は母子世帯で30.2%、父子世帯で48.0%にとどまります。一方、面会交流を「行ったことがない」または「現在は行っていない」世帯は、母子で約3分の2、父子でも約半数に上り、面会機会の乏しさが依然として課題です。
※出典:令和3年度 全国ひとり親世帯等調査の結果を公表します
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f1dc19f2-79dc-49bf-a774-21607026a21d/9ff012a5/20230725_councils_shingikai_hinkon_hitorioya_6TseCaln_05.pdf
感情要因としては以下のようなものが考えられます。
1. 監護親側の不安・怒り
・過去のDV・モラハラ、養育方針の対立、交際相手(再婚予定者)への警戒
・面会時の「連れ去り」や子どもへの悪影響を懸念し、交流を制限する
2. 非監護親側の失望・報復感情
・面会を拒まれ続け「自分の子なのに会えない」と怒り、"払わないことで抗議"する心理が働く
3. 子ども自身の戸惑い
・思春期になると子どもが面会を拒む例もあり、その理由を非監護親が受け入れられず衝突が拡大
こうした"心の壁"は統計に表れにくいものの、調停委員・弁護士の現場感覚として「面会交流紛争が長期化すると養育費未払いに発展しやすい」傾向は共通認識です。SNSやオンライン掲示板には「会わせてもらえないから払わない」「払ってくれないから会わせない」という体験談が溢れ、誤った成功例が拡散されることで、さらにトラブルを呼び込む悪循環が起きています。
弁護士相談サイトや家庭裁判所の減額請求事例を整理すると、「養育費 支払い拒否」を招く典型パターンは、大きく分類すると、以下の5つに分類できます。
| 主な拒否理由 | 典型的な主張例 | 法的・実務的な反論ポイント |
|---|---|---|
| 再婚 | 「再婚して扶養家族が増えたから減額/免除したい」 | 再婚だけでは義務消滅しない。養子縁組成立・著しい支出増など事情変更が必要 |
| 収入減少 | 「失業・病気で支払えない」 | 一時的滞納は協議で分割・猶予を検討。長期化する場合は家庭裁判所で減額調停を申し立てる必要 |
| 連絡断絶 | 「相手が連絡に応じないので振込先が不明」 | 督促記録・メールを保存し、財産開示手続きや口座情報取得を申請すれば差押え可能 |
| 面会拒否への報復 | 「会わせてくれないなら払わない」 | 養育費は権利義務が分離。面会拒否を理由に支払い停止すると強制執行・間接強制金の対象 |
| 双方合意の誤解 | 「本人同士で『もう要らない』と言ったから」 | 口頭合意のみでは無効リスク大。公正証書や調停条項で正式に変更しなければ債務は残る |
いずれの理由も、"自力での交渉"が長引くほど感情対立が深刻化し、子どもの生活費が滞るという本末転倒の結果を招きます。支払い拒否に直面したら、証拠を集めたうえで速やかに弁護士・養育費相談支援センターへ連絡し、法的手続きを視野に入れることが被害を最小限に食い止める現実的アプローチです。
家庭裁判所の実務では、面会交流の停滞があっても養育費の支払い義務は原則として存続するという立場が一貫しています。
東京高等裁判所平成29年1月26日判決(判例時報2325号78頁)は、親権者を定めるに当たり「面会交流への意向は数ある考慮事情の一つにすぎず、それだけで結論を左右しない」と判示しました。
福岡家庭裁判所平成26年12月4日審判(判例時報2260号)では、監護親が面会交流を一方的に拒否したため親権者が変更されたものの、決定書には養育費免除の記載はなく、実務上は基本的に負担が維持されると解されています。
また裁判所の手続案内では、養育費が未払いの場合は「履行勧告→強制執行」の流れを明示しており、面会交流の実施状況を理由に養育費請求を却下する運用は示されていません。
このように扶養(養育費)の義務と面会交流の権利は手続上・法的に切り分けて検討されることが家裁実務の基本スタンスといえます。
民法766条と子の利益の最優先原則
民法766条は、離婚時に面会交流を定める際の最優先基準として「子の利益を最も優先して考慮」することを規定しています(同条1項および、協議がまとまらない場合を想定した2項)。
この理念は国際法にも対応しており、国連子どもの権利条約(Convention on the Rights of the Child)第9条は、児童が父母の意思に反して父母から分離されない権利を定め、たとえ分離されても実の両親との関係を保つことを規定しています。同条約は父母の別居等の場合においても、児童の最善の利益を確保することを締約国に求めています。
判例の傾向を見ると、裁判所は以下の点を総合的に考慮する姿勢がうかがえます。
・心理的安定(安心感・自己肯定感)
・アイデンティティ形成(親子関係の理解)
・経済的・教育的保障(養育費の継続)
・身体的負担(移動距離や頻度による影響)
・学校生活への影響(学校行事への参加、友達との交流等)
たとえば東京高等裁判所平成29年1月26日判決では、年間100日程度の面会交流計画を提案した父の主張について、以下のように判示しました。
「一般に、父母の離婚後も非監護親と子との間に円満な親子関係を形成・維持することは子の利益に合致することであり、面会交流はその有力な手段である。しかし、親権者を定めるに当たり、非監護親との面会交流に関する事情は、唯一の判断基準ではなく、他の諸事情よりも重要性が高い事情でもない」
この判決は、面会交流の重要性を認めつつも、それが親権・監護権の判断を単独で左右するものではないことを明確にし、面会交流の可否と親権・扶養の判断を区分して検討する立場を示しました。
まとめると、子どもの最善の利益は「経済的安定」と「心理的安定」を基軸として、個々の事案における具体的事情を総合的に考慮して判断されるというのが、現在の法的枠組みと判例の示す方向性です。したがって、いずれか一方を交渉材料にしてもう一方を人質に取る行為は、民法の趣旨および子どもの権利保護の理念に反することになります。
実務では「面会させてもらえないから養育費を払わない」「未払いだから面会を拒む」といった"バーター合意"が持ちかけられることがあります。
しかし、面会交流と養育費は制度の根拠も方法も異なるまったく別のものであり、交換条件にはなりません。また、両方とも子どもの権利であるため、親の一存で請求権を放棄することはできません。
法務省の離婚関連パンフレットや家庭裁判所の手続案内においても、面会交流と養育費は子の利益のため別々に履行されるべきものとして位置づけられています。
仮に当事者が「面会交流が守られない場合は養育費を停止できる」といった条項を盛り込んでも、家庭裁判所は子の利益を最優先に考慮し、このような条項の効力を認めない可能性が高いとされています。
養育費の支払いを一方的に停止した義務者が負う主なリスク
強制執行による養育費債権の回収
・給与や預貯金の差押え(民事執行法151条の2等)
・養育費の場合、手取り額の2分の1まで差押え可能(民事執行法152条3項)
・将来分の養育費についても一括して差押え可能
家庭裁判所による履行確保手続
・履行勧告(家事事件手続法289条)家庭裁判所が支払いを勧告
・履行命令(家事事件手続法290条)違反すると10万円以下の過料
・間接強制 裁判所が日額制裁金を課す手続
※養育費に関連する時効の問題
養育費は原則5年で消滅時効(民法166条)が進行しますが、権利者が時効完成前に調停・訴訟を起こすと時効は更新され、未払分+遅延損害金をまとめて請求される恐れがあります。
面会交流を恣意的に拒否した監護親のリスク
安全配慮義務を尽くした面会案を理由なく拒み続けた監護親も、以下の不利益を被り得ます。
親権・監護者変更のリスク
・親権者変更審判(福岡家裁平成26年12月4日決定など)
・面会交流の妨害が継続的である場合、親権・監護権の変更事由となる可能性
強制執行・制裁措置
・面会交流の間接強制(制裁金の支払い命令)
・正当な理由のない面会交流拒否に対する間接強制決定
損害賠償責任
・悪意の妨害が認められるケースでは慰謝料請求の対象となる
・面会交流妨害による精神的損害の賠償責任
バーターは双方にとって損しかない"選択肢"であり、法的にも実務上も認められません。
子の利益を確保するためには、面会交流と養育費を別々に履行し、紛争が生じた場合は弁護士へ相談し、調停・審判で個別に解決するのが唯一の安全ルートです。
どちらも子どもの健全な成長に不可欠な権利であり、一方を人質に他方を制限することは、子どもの最善の利益に反する行為として法的に否定されています。
最も確実な予防策は、債務名義化(公正証書を作成し、強制執行認諾条項を付しておく)です。離婚協議書を公証役場で公正証書にする際に、「約束通り払わなければ直ちに強制執行できる」旨(強制執行認諾条項)を付すことができます。
強制執行認諾条項付きの公正証書を作成しておくことで、調停や裁判などを経ずに、強制執行をすることができ、時間も労力も費用も大幅に削減することができます。
「振込を忘れた」「ATMに行けなかった」といった"うっかり遅延"を防ぐなら、銀行の定期振込・自動送金サービスを活用しましょう。ネット銀行なら月額数百円で毎月決まった日に指定口座へ送金でき、残高不足以外の要因で滞るリスクを減らすことができます。
ただし、口座の残高不足等の可能性もあるため、毎月、状況を必ずチェックしておく必要があります。
未払いが発生したら、まず家庭裁判所へ履行勧告を申し立てます。
もしも相手方が、応じない場合は履行命令へ進みます。
これに、従わなければ10万円以下の過料が科されるため心理的圧力は一段強まります。強制力は限定的ですが、「裁判所が動いた」事実は相手に大きなプレッシャーとなり、自主的な分割払いや和解に繋がる例も少なくありません。
令和2年民事執行法改正で、養育費債権でも財産開示手続(罰則付き)と第三者からの情報取得手続きが使いやすくなりました。債務者を裁判所へ呼び出して資産を申告させ、応じなければ6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。さらに銀行・年金機構・市区町村などから"口座・勤務先・不動産"情報を取り寄せられるため、「どこに財産があるか分からず差押えできない」という壁が大きく低下しました。
最終手段は差押えです。債務名義(公正証書・調停調書など)を添えて地方裁判所へ申し立て、給与・預貯金・不動産などを凍結します。
給与差押えの場合、勤務先に毎月最大手取り額の1/2まで送金義務が生じるため、長期間にわたり自動的に回収が可能。銀行口座差押えは一括回収できる反面、入金タイミングに左右されるため、財産開示+給与差押えを併用するなどの工夫をした方が良いケースもあります。
1. 離婚時に作成する離婚協議書は、必ず公正証書にしておく
2. 各銀行等の自動送金サービスを活用する
3. 履行勧告や履行命令なども活用する
4. 財産開示制度などについても検討する
5. ケースによっては強制執行も視野に入れておく
これらを段階的に組み合わせることで「支払わないと大変だ」と相手に強く自覚させ、未払い長期化を防ぐ実効性が飛躍的に高まります。
しかし、これらの手続きをご自身で行うことは、難しいケースが少なくありません。
そのような場合は、弁護士に相談し、どのような対策を実施すべきかを確認しておくと良いでしょう。
具体的なルール設定例(頻度・場所・オンライン利用)
面会交流で最も揉めやすいのは「どのくらいの頻度で・どこで・どんな形で会うか」を決めないままスタートしてしまうケースです。家庭裁判所の調停でも、月1回の面会交流を取り決めたはずが実際には連絡が途絶え、結果的に「養育費 支払い拒否」へ発展したという相談が珍しくありません。そこでおすすめなのが、次のような"カレンダーに落とせる"具体的ルールです。
| 項目 | 具体例 | 補足メリット |
|---|---|---|
| 頻度 | 月1回・第2土曜10:00~17:00固定 | 変動幅をなくし「今月はいつ?」という連絡コストを削減 |
| 場所 | ①公共施設のキッズルーム②季節行事は公園・博物館など | 中立スペースを基本にし監護親の不安を軽減 |
| 連絡方法 | 前日までにLINEで体調確認/当日到着連絡/終了時に写真送付 | 「会えたかどうか分からない」→感情対立を未然防止 |
| オンライン併用 | 感染症流行時や遠距離転居時はZoom15分×月2回 | 継続性を担保し養育費モチベーション低下を抑える |
オンライン面会はコロナ禍以降に支援機関が急拡大。2024年度の面会交流支援普及事業報告書でも「Zoom等オンライン相談が全国で定着」と報告されています。
※出典:2024年度親が離婚した子どものための面会交流支援の普及事業報告書
https://fields.canpan.info/report/detail/32633?utm_source=chatgpt.com
ポイント
ルールは「日時・場所・連絡手順」をワンセットで文章化し、公正証書や調停調書に落とし込むことで、強制執行力を持たせつつ両親の合意を"見える化"できます。
また、相手方においても導入が必要となりますが、連絡方法について、「面会交流アプリ」の活用も一つの選択肢かと考えます。
https://raeru.jp/
協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の面会交流調停を活用することができます。
その際の手順は次のとおりです。
1. 申立書提出
当事者情報と希望(頻度・場所・連絡方法など)を記載。
2. 第1回期日
調停委員が別席で事情聴取し、「子の最善の利益」を軸に論点整理。
3. 複数回の協議
学齢や行事予定を踏まえ面会スケジュールを擦り合わせ。
4. 合意・調停成立
調停条項が確定すれば債務名義となり、守られなければ履行勧告・間接強制を申し立て可能。
5. 不成立の場合
当事者の申立てまたは裁判所の職権で審判に移行し、子の福祉を害する事情がなければ面会交流を実施する決定が出る傾向があります。
令和4年司法統計によると、離婚調停が成立した事件のうち約4割(4,090件/9,895件)で、月1回以上の面会交流の取り決めが明文化されており(家事編 表24)、年々増加傾向です。裁判所を介した書面化は「守らなければ制裁がある」点を可視化し、養育費と面会交流をバーターにしようとする動機を弱める効果が期待できます。
※出展:司法統計年報 3家事編
https://www.courts.go.jp/app/files/toukei/659/012659.pdf
近年、面会交流支援センター(ACCSJ=面会交流支援全国協会の認証団体など)が全国各地で立ち上がり、付き添い・受渡しサポート・オンライン交流指導を提供しています。
2025年2月11日に開催されたACCSJ国際シンポジウムでは、面会交流支援の登録・認証制度が議論され、支援員向けのオンライン研修や事例検討会など多数の研修講座が整備されたと報告されました。
ACCSJ認証委員会は2023年から運用され、2025年春期時点で10団体が認証を取得しています。
利用するメリット
1. 中立性の担保
スタッフ立会いの受渡しでDV・連れ去りリスクを大幅に低減。
2. 感情対立のクッション
親同士が直接顔を合わせず、口論→支払拒否の連鎖を防止。
3. 記録の蓄積
面会日時や様子の報告書が未払い時の証拠になる。
4. オンライン支援
遠距離や感染症流行下でも定期交流を維持し、義務者の"関与感"を保つ。
料金相場は支援形態によって異なりますが、受渡し型で1回5,000~10,000円が多く、付き添い型は時間単価で加算される例もあります。
自治体によっては1回1万円を上限に利用料を補助する制度(例:船橋市・品川区)もあるため、まずはお住まいの市区町村や弁護士会に問い合わせるとよいでしょう。
※出展:船橋市
https://www.city.funabashi.lg.jp/kodomo/teate/003/01/p096067.html?utm_source=chatgpt.com
養育費と面会交流は、どちらも子どもの健全な成長に不可欠な制度でありながら、法的には全く別個の権利・義務として位置づけられています。「面会させてくれないから養育費を払わない」「養育費が未払いだから面会を拒む」といったバーター取引は、子どもの最善の利益に反する行為として法的に否定されており、結果的に当事者双方にとって不利益しかもたらしません。
現実には、母子世帯の約7割が養育費を受け取れておらず、面会交流も3割程度の家庭でしか継続されていないという深刻な状況があります。この背景には、感情的対立の長期化や法的知識の不足、適切な取り決めの欠如などがあり、最終的に最も大きな被害を受けるのは子どもたちです。
こうした問題を未然に防ぐためには、離婚時の公正証書作成、自動振込システムの活用、第三者機関のサポートなど、段階的かつ実効性のある対策が重要となります。特に、感情的になりがちな当事者間の交渉においては、法的知識と豊富な実務経験を持つ専門家の早期介入が、問題の長期化を防ぎ、子どもの利益を守る最も確実な方法といえるでしょう。
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