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  4. 養育費の計算方法を徹底解説!養育費算定表を正しく使いこなすポイント
著者:代表弁護士 阿相 貴大

執筆者:弁護士 阿相 貴大

ホライズン法律事務所 代表弁護士
東京弁護士会所属

養育費の計算方法を徹底解説!養育費算定表を正しく使いこなすポイント

養育費の計算方法を徹底解説!養育費算定表を正しく使いこなすポイントイメージ画像

更新日:2025.07.16

離婚後の養育費は、子どもの生活を支える重要なお金です。その計算は"算定表"の活用がカギですが、使い方を誤ると想定より少ない・多い金額が出てしまいます。本コラムでは、養育費 計算方法の基本から、算定表の正しい使い方、さらに子どもの年齢・親の収入別の注意点まで丁寧に解説します。

養育費の適正な計算は、単に金額を求めるだけでなく、離婚後の子どもの健全な育成環境を整えるために欠かせません。現在広く使用されている養育費算定表は、2019年12月23日に改定されており、従来よりも実態に即した金額算出が可能になりました。

しかし、養育費算定表を正確に読み取り、適切な養育費を求めるためには、基礎収入の算出方法や子どもの生活費指数など、複数の要素を理解する必要があります。本記事では、これらの計算の仕組みを段階的に説明し、実際のケースを交えながら、誰でも適正な養育費を算出できるよう分かりやすく解説していきます。

養育費の計算方法には大きく分けると2つの方法がある

養育費の計算方法は、大きく分けると2つの方法があります。1つは裁判所が公表している「養育費算定表」を用いて簡易的に計算する方法。もう1つは、1円単位まで計算する方法です。

養育費算定表を用いると「〇万円~〇万円」という数値がすぐに計算することができ、とても便利です。実務上は、話し合いや調停などで、交渉をすることを前提に養育費の計算をするケースが多いため、算定表を用いて計算をするケースが多いです。

一方、1円単位まで、細かく計算をしたい場合は、手順に沿って計算をすることになります。

1円単位まで細かく養育費を計算したい場合の手順

1円単位まで細かく養育費を計算したい場合の手順

養育費の計算は、一見複雑に見えますが、手順に沿って進めることで、金額を導き出すことができます。標準算定方式では、大きく分けて3つのステップで養育費を算出します。これらのステップを順番に理解することで、算定表の数値がどのように決められているかが分かり、より正確な計算が可能になります。

手順①:年収から"基礎収入"を求める

養育費計算の第一歩は、父母それぞれの基礎収入を算出することです。基礎収入とは、総収入から、収入の多寡に応じて通常必要となる公租公課(税金や社会保険料など)、職業費、特別経費の3つを控除したもので、実際に生活費として使える金額です。

給与所得者の場合、年収に占める基礎収入の割合は38~54%とされています。具体的には、年収に応じて以下のような基礎収入割合が適用されます。

・年収100万円の場合:50%(基礎収入50万円)
・年収400万円の場合:42%(基礎収入168万円)
・年収800万円の場合:40%(基礎収入320万円)
・年収1500万円の場合:38%(基礎収入570万円)

自営業者の場合は、年収に占める基礎収入の割合は48~61%と、給与所得者よりも高く設定されています。これは、自営業者の場合、確定申告書の「課税される所得金額」がベースとなるため、既に必要経費が控除されていることが理由です。

この基礎収入の計算が正確でないと、最終的な養育費の金額に大きな誤差が生じるため、源泉徴収票や確定申告書を正確に確認し、適切な基礎収入割合を適用することが重要です。

手順②:子どもの生活費指数を確認する

次に重要なのが、子どもの生活費指数の理解です。生活費指数とは、大人一人を「100」とした場合の子どもに振り分けられるべき生活費の割合を指します。この指数は子どもの年齢によって明確に区分されており、成長段階に応じた費用の違いを反映しています。

年齢別の生活費指数
・14歳以下の子ども:62
・15歳以上の子ども:85

この数値は、学校教育費考慮前と考慮後で設定されており、14歳以下では学校教育費考慮前が51、考慮後が62。15歳以上では学校教育費考慮前が60、考慮後が85となっています。

なぜこのような差があるのでしょうか。理由は主に以下の3点です。

1. 教育費の増加:中学校から高校にかけて、教育にかかる費用の大幅な増加
2. 生活費の増加:食費や衣服費など、成長に伴う生活費の増加
3. 活動費の増加:部活動や友人との交流など、社会活動にかかる費用

複数の子どもがいる場合は、それぞれの指数を合算します。例えば、12歳と16歳の子ども2人がいる場合は、62+85=147となります。

手順③:義務者の養育費年額・月額を計算する

最終ステップは、実際の養育費計算です。義務者の養育費分担額は、子の生活費×義務者の基礎収入÷(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)で算出されます。

計算式の流れ

1. 子の生活費の算出
子の生活費 = 義務者の基礎収入 × 子の生活費指数合計 ÷(100 + 子の生活費指数合計)

2. 義務者の分担額算出
養育費(年額)= 子の生活費 × 義務者の基礎収入 ÷(義務者の基礎収入 + 権利者の基礎収入)

3. 月額への換算
月額養育費 = 年額養育費 ÷ 12

具体例
義務者(父)年収600万円(給与所得者)、権利者(母)年収300万円(給与所得者)、子ども1人(12歳)の場合

基礎収入:父246万円(600万円×41%)、母126万円(300万円×42%)
子の生活費:246万円 × 62 ÷(100+62)= 94万1,481円
父の分担額:94万1481円 × 246万円 ÷(246万円+126万円)= 62万2,593円
月額:62万2,593円 ÷ 12 = 約5万1,883円

この計算により、このケースでは月額約5万2千円の養育費が適正とされます。

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養育費算定表を用いて簡便に養育費を計算する方法

複雑な計算を簡単にするために作られたのが養育費算定表です。この算定表は、離婚に際して子どもの養育費の金額を決めるときに、標準的な養育費を簡易・迅速に算出できる早見表で、全国の家庭裁判所で広く使用されています。正しく活用することで、離婚時の話し合いや調停において適正な養育費を把握でき、合意形成に重要な役割を果たします。

養育費算定表とは?裁判所公表の早見表

現在使用されている算定表は、2019年12月23日に公表された改定版で、約16年ぶりの大幅な見直しが行われました。この改定により、従来よりも実態に即した養育費の算出が可能になっています。

算定表の特徴

1. 簡易性
複雑な計算式を使わずに、交差点を確認するだけで金額が分かる

2. 統一性
全国の家庭裁判所で同一の基準が使用される

3. 透明性
計算根拠が明確で、当事者間での合意が得やすい

4. 迅速性
調停や審判での決定が早期に行える

算定表は、子どもの人数・年齢に応じて表が用意されており、各表は、父母双方の収入と職業に基づいて、適切な養育費の目安が確認できるようになっています。

出典:平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

養育費算定表の見方と使用手順

養育費算定表を正しく読み取るには、以下の手順に従って進めることが重要です。

手順1:該当する表の選択

裁判所のウェブサイトで公表されている養育費算定表は9種類あり、子どもの人数と子どもの年齢によって分かれているため、まず自分の状況に合った表を選択します。

表1・2:子ども1人(0~14歳、15歳以上)
表3~5:子ども2人(年齢組み合わせ別)
表6~9:子ども3人(年齢組み合わせ別)

手順2:収入の確認と分類

義務者(支払う側)と権利者(受け取る側)それぞれの年収を確認し、給与所得者か自営業者かを明確にします。同じ年収であっても、職業によって公租公課(税金や社会保険料など)や必要経費の控除方法が異なり、結果として養育費算定表で適用される基礎収入の割合も異なるため、この分類は重要です。

具体的には、自営業者の収入は確定申告書から、給与所得者の収入は源泉徴収票から確認します。それぞれ該当する分類(給与所得者または自営業者)の列を選ぶことで、養育費算定表を正しく使用することができます。

手順3:交差するポイントの確認

両親の年収を、それぞれ縦軸と横軸に当てはめると、交差するマスが標準的な養育費の額を示すようになっています。

実際の見方例
義務者:年収500万円(給与所得者)、権利者:年収100万円(給与所得者)、子ども1人(10歳)の場合

1. 「表1 養育費・子1人表(子0~14歳)」を選択
2. 縦軸で義務者の年収500万円(給与)の位置を確認
3. 横軸で権利者の年収100万円(給与)の位置を確認
4. 交差点で「4万~6万円」を確認

この「4万~6万円」の幅の中で、個別事情を考慮して具体的な金額を決定します。

一般的には幅の中央値(この場合は5万円)が実務上の基準として用いられることが多いですが、以下のような個別の事情によって養育費の金額が調整されることがあります。

・子どもに特別な医療費が必要な場合
・私立学校への通学があり、義務者の同意または承諾がある場合
・義務者の収入が大幅に変動し、支払能力に変化が生じた場合
・その他、特別な事情がある場合

※出典:「(表1)養育費・子1人表(子0~14歳)」
https://www.youikuhi-soudan.jp/pdf/youikuhi_santeihyo02.pdf

養育費算定表が使えない場合と微調整が必要なケース

養育費算定表は非常に便利なツールですが、すべてのケースに対応できるわけではありません。算定表は夫婦の子どもが3人までの場合を想定しており、実際に子どもが4人以上いる夫婦には使用できず、養育費の複雑な計算が必要です。

養育費算定表が使用できない主なケース

1. 子どもが4人以上の場合
養育費算定表は最大3人までの子どもを想定しているため、4人以上の場合は個別計算が必要です。

2. 高額所得者の場合
給与所得者で義務者の年収が2,000万円以上、権利者の年収が1,000万円以上の場合は、養育費算定表の範囲を超えるため、計算式を用いた算定が必要になります。

3. 複合所得の場合
給与所得に加えて不動産所得や配当所得、事業所得などがある場合は、養育費算定表にそのまま当てはめるのではなく、所得の性質に応じた調整が必要です。

4. 特別な事情がある場合
・子どもの持病による高額医療費
・私立学校の学費
・親の扶養義務者の存在
・再婚による新たな扶養家族の増加

微調整が必要なケース

養育費算定表は平均的な家庭を想定しているため、個別の事情によっては以下のような微調整が必要になります。

1. 住居費の特殊事情
社宅住まいや持ち家、実家への居住などで標準的な住居費がかからない場合、養育費算定表の金額から相当額を差し引いて調整します。

2. 交通費等の職業費
養育費算定表では平均的な控除額が想定されていますが、実際の通勤距離や交通手段によって大きく異なる場合は、差額を反映させて控除調整が可能です。

3. 保険料等の特別経費
医療・学資・生命保険など、標準額を超える支出がある場合、実支出額に基づいた控除調整が認められる場合があります。

これらのケースでは、弁護士などの専門家に相談し、個別の計算式を用いた正確な算定を行うことが推奨されます。

養育費の計算のモデルケース

理論的な説明だけでは分かりにくい養育費の計算方法を、具体的なケースを通じて詳しく見ていきましょう。実際の数値を使った計算例を示すことで、養育費算定表の読み方と計算式の使い方の両方を理解できます。

養育費計算のモデルケース1:父600万円(給与)母0円(専業主婦)のケース

最も典型的なケースとして、父親が会社員で母親が専業主婦の場合を考えてみましょう。

設定条件
義務者(父):年収600万円(給与所得者)
権利者(母):年収0円(専業主婦)
子ども:1人(8歳)

養育費算定表による確認

「表1 養育費・子1人表(子0~14歳)」を使用して、縦軸600万円(給与)、横軸0円の交差点を確認すると、「8万~10万円」の範囲が示されます。

計算式による検証

1. 基礎収入の算出
父の基礎収入:600万円 × 41% = 246万円
母の基礎収入:0円

2. 子の生活費算出
子の生活費 = 246万円 × 62 ÷(100 + 62)= 94万1481円

3. 父の分担額(年額)
養育費(年額)= 94万1481円 × 246万円 ÷(246万円 + 0円)= 94万1,481円(小数点以下四捨五入)

4. 月額換算
月額養育費 = 94万1481円 ÷ 12 = 約7万8,457円(小数点以下四捨五入)

この計算結果は養育費算定表の「8万~10万円」の範囲内に収まっています。母親の収入が0円の場合、父親が子どもの生活費を全額負担することになるため、養育費は相対的に高額になります。

養育費計算のモデルケース2:父600万円(給与)母200万円(給与)のケース

次に、両親ともに収入がある場合を見てみましょう。

設定条件
義務者(父):年収600万円(給与所得者)
権利者(母):年収200万円(給与所得者)
子ども:1人(12歳)

養育費算定表による確認

「表1 養育費・子1人表(子0~14歳)」で確認すると、「6万~8万円」の範囲が示されます。

計算式による検証

1. 基礎収入の算出
父の基礎収入:600万円 × 41% = 246万円
母の基礎収入:200万円 × 43% = 86万円

2. 子の生活費算出
子の生活費 = 246万円 × 62 ÷(100 + 62)= 94万1,481円(小数点以下四捨五入)

3. 父の分担額(年額)
養育費(年額)= 94万1,481円 × 246万円 ÷(246万円 + 86万円)= 69万7,740円(小数点以下四捨五入)

4. 月額換算
月額養育費 = 69万7,740円 ÷ 12 = 5万8,145円(小数点以下四捨五入)

15歳以上の子どもの場合の養育費の比較

同じ収入条件で子どもが16歳の場合を計算してみます。

子の生活費 = 246万円 × 85 ÷(100 + 85)= 113万0,270円(小数点以下四捨五入)
養育費(年額)= 113万0,270円 × 246万円 ÷(246万円 + 86万円)= 83万7,553円(小数点以下四捨五入)
月額養育費 = 83万7,553円 ÷ 12 = 6万9,796円(小数点以下四捨五入)

このように、子どもが15歳以上になると、月額養育費は約1万1,651円の増額となります(5万8,145円 → 6万9,796円)。

ケース3:養育費算定表と計算式の差異

養育費算定表と詳細な計算で結果に差が出ることがあります。これは算定表が簡易性を重視し、計算途中で端数処理を行っているためです。

差異が生じる主な理由

1. 端数処理の違い
養育費算定表では計算過程の端数を丸めて表示しているためです。

2. 基礎収入割合の段階設定
実際の収入が基礎収入割合の境界線付近にある場合、わずかな差異で大きな影響が出ることがあります。

3. 複合的要因
収入の内訳や家族構成の特殊事情など、個別の事情で差異が広がることがあります。

具体例「境界線収入のケース」
義務者年収500万円、権利者年収150万円、子ども1人(10歳)の場合
養育費算定表:「4万~6万円」

計算式による算定:
・義務者基礎収入:500万円 × 42% = 210万円
・権利者基礎収入:150万円 × 44% = 66万円
・子の生活費:210万円 × 62 ÷ 162 = 80万3,704円(小数点以下四捨五入)
・養育費年額:80万3,704円 × 210万円 ÷ 276万円 = 61万1,413円(小数点以下四捨五入)
・月額養育費:61万1,413円 ÷ 12 = 5万0,951円(小数点以下四捨五入)

このケースでは、計算式で算出した結果(約5万1,000円)が養育費算定表の範囲内(4万~6万円)のほぼ中央に位置しています。このように、算定表のどの位置を採用すべきかを判断する際の参考として、計算式による検証が役立ちます。

調整が必要な場合の判断基準
・養育費算定表の幅が±3万円以上ある場合
・特別な支出(医療費、教育費)がある場合
・収入の安定性に問題がある場合
・他の扶養義務がある場合

これらの場合は、養育費算定表の金額を基準としつつ、個別事情を踏まえた調整を行うことが一般的です。正確な算定や調整が必要な場合は、弁護士等の専門家への相談が有効です。

養育費算定表で計算した金額に納得できないときの対策

養育費算定表で計算した金額に納得できないときの対策

養育費算定表は標準的なケースを想定して作られているため、個別の事情によっては算定表の結果に納得できない場合があります。そのような場合には、いくつかの対策方法があります。

細かい1円単位の計算が必要な場合

養育費算定表は「○万円~○万円」という幅で表示されますが、詳細に金額を設定する必要がある場合には、計算式を使って1円単位で算出することができます。

1円単位計算が必要なケース
・公正証書作成時:強制執行の際に明確な金額が必要
・調停・審判での精密な算定:当事者間で合意に至らない場合
・税務上の扱い:扶養控除等の適用判断
・家計管理の精度向上:長期的な収支計画の策定

計算式を使った1円単位の計算手順
標準算定方式では、第一段階で父と母の基礎収入を計算し、第二段階で子の生活費を計算し、第三段階で父(義務者)が支払うべき養育費を計算するという流れで進めます。

実例:義務者年収550万円(給与)、権利者年収180万円(給与)、子ども1人(13歳)

1. 基礎収入
義務者:550万円 × 42% = 231万円
権利者:180万円 × 43% = 77万4,000円

2. 子の生活費
231万円 × 62 ÷(100+62)= 88万4,074円

3. 義務者分担額
88万4,074円 × 231万円 ÷(231万円+77万4,000円)= 66万2,195円(小数点以下四捨五入)

4. 月額
66万2,196円 ÷ 12 = 5万5,183円(円未満四捨五入)

※実務では、月額の端数は通常、円未満を四捨五入または切り上げで処理します。公正証書等に記載する際は、端数処理の方法も明記することが望ましいです。

このように、1円単位まで算出することで、より正確な養育費を求めることができます。

養育費の見直しが必要な場合

家族構成の変化(再婚・養子縁組など)

離婚後の生活では、様々な変化が生じる可能性があります。これらの変化は養育費の算定に大きな影響を与えるため、適切に対応する必要があります。

主な家族構成の変化とその影響

1. 義務者の再婚
新しい配偶者の扶養義務が発生
新しい子どもが生まれた場合の養育費負担
基礎収入に対する扶養家族数の増加影響

2. 権利者の再婚
養子縁組により新しい父(母)が養親となる場合
継親による事実上の扶養が行われる場合
権利者の経済状況の改善

3. 就職・転職・失業
収入の大幅な変動
職業の変更(給与所得者⇔自営業者)
潜在的稼働能力の評価

減額・増額の判断基準

減額が認められやすいケース
・義務者の収入が大幅に減少(リストラ、病気等)
・義務者に新たな扶養義務が発生
・権利者の収入が大幅に増加
・権利者が再婚し、子どもが養子縁組された

増額が認められやすいケース
・子どもの私立学校進学
・子どもの医療費増大
・義務者の収入が大幅に増加

変更手続きの流れ

1. 当事者間での話し合い
2. 養育費変更調停の申し立て
3. 調停不成立の場合は審判へ移行

専門家(弁護士)への相談を検討すべき場合

複雑なケースや当事者間で合意に至らない場合、相手方と直接の交渉をしたくない場合、弁護士への相談が非常に有効です。

弁護士相談が特に有効なケース

1. 複雑な収入構造
・複数の収入源(給与+事業+不動産等)
・海外収入や仮想通貨等の特殊収入
・収入の季節変動が大きい場合

2. 特別事情の主張
・子どもの障害や持病による特別費用
・高額な私立学校や塾費用
・親の介護費用等の他の扶養義務

3. 相手方の非協力
・収入資料の開示拒否
・故意の収入隠し
・支払い拒否や滞納

4. 法的手続きが必要
・調停・審判の代理
・強制執行手続き
・公正証書の作成

5. 相手方と会いたくない/会話をしたくない場合
・弁護士は、本人に代わって代理人として相手方と交渉等が可能

弁護士に依頼するメリット
正確な法的判断:最新の判例や法律、実務に基づいた適切な判断
交渉力:相手方との効果的な交渉
手続き代行:複雑な裁判所手続きの代理
将来のリスク回避:適切な取り決めによる紛争予防

弁護士に依頼するメリットは上記のとおり多く、一方、デメリットは費用が発生する点のみであるといえます。長期間にわたって支払われる養育費は、仮に毎月5万円を10年間支払ってもらうと考えると600万円ほどと大きな金額となります。

これを、きちんと回収したいと考えるた場合の投資として十分に価値があると言えるでしょう。

養育費を確実に受け取るためのポイント

養育費の適正な算定ができても、養育費が実際に支払われなければ意味がありません。離婚によって親権者でなくなった親であっても、子どもの親であることに変わりはありませんので、相手方は、親として養育費の支払義務を負いますが、現実には多くのケースで、養育費の未払いがが発生しています。ここでは、確実な履行を確保するための取り決め方法と、不履行時の対処法について解説します。

養育費の未払いを予防する取り決め方法

養育費の未払いを予防するためには、離婚時に適切な書面を作成することが重要です。

書面作成の重要性
取り決めをする際には、養育費の支払がスムーズに行われるように、①養育費の金額、②支払期間、③支払時期、④振込先などを具体的に決めてください。また、取り決めた内容については、後日、紛争が生じないように、口約束ではなく、書面に残しておくことが重要です。

作成する書面(離婚協議書)は、当事者間のみで作成したものではなく、公正証書にしておくと良いでしょう。

作成すべき書面の種類

1. 離婚協議書
・当事者間で作成する私文書
・法的効力はあるが、強制力はない(強制執行などをしたい場合は、別途調停などを経る必要がある)
・費用が安く、迅速に作成可能

公正証書(離婚協議書の公正証書化)
・公証人が作成する公文書で証拠力が高い
・強制執行認諾文言を記載すれば、訴訟等を経ずに直接強制執行が可能
・作成費用はかかるが、履行確保の効果が高い

公正証書の重要性
公正証書には強制執行認諾文言を含めることができるため、この存在自体が養育費の未払いに対する強い抑止力となります。支払義務者は、未払いの場合に直ちに給与や財産を差し押さえられることを認識するため、継続的な支払いが期待できます。

公正証書に記載すべき事項の例
・養育費の具体的金額
・支払期間(開始時期と終了時期)
・支払方法(振込先、支払日等)
・増減額の取り決め
・強制執行認諾文言

公正証書作成の流れ

1. 当事者間での事前合意
2. 公証役場への連絡・予約
3. 必要書類の準備
4. 公証人との打ち合わせ
5. 公正証書の作成・署名

作成費用の目安
養育費総額に応じて手数料が決まり、自分自身で行う場合は、一般的には5,000円~3万円程度です。将来の未払いリスクを考慮すると、予防策としての投資価値は十分にあります。

また、自分で作成することが不安な場合には、弁護士に作成を依頼するという方法もあります。

養育費の未払いが発生した場合の対策

残念ながら養育費の未払いが発生した場合、以下のような対策方法があります。

本人からの督促
未払が発生した場合、できるだけ早い段階で、督促を行うと良いでしょう。督促をしないと相手は支払いをしなくても大丈夫と勘違いをしてしまいます。

弁護士に委任して行う督促
本人同士の交渉や督促では相手が支払いをしないというケースもあります。このような場合、弁護士に依頼することで解決するケースも少なくありません。

裁判所を介した手続き:履行勧告
家庭裁判所に履行勧告の申出をすると、家庭裁判所は、必要な調査を行った上で、支払義務者に対し、取り決められたとおりに支払うよう勧告をします。

裁判所を介した手続き:履行命令
履行勧告に応じない場合、家庭裁判所が履行命令を発することができます。

※履行勧告・履行命令は、家庭裁判所の調停・審判で決まった養育費について利用できます。当事者間の合意のみの場合は利用できません。

裁判所を介した手続き:強制執行
最も強力な手段で、相手方の財産(銀行口座のお金や給与債権等)を直接差し押さえることができます。

※強制執行を行うには、債務名義(公正証書、調停調書、審判書、判決等の強制執行を行うための切符のようなもの)が必要です。

差し押さえ可能な財産

給与債権:手取り額の1/2まで(ただし33万円を超える部分は全額)
預貯金:全額
不動産:競売による換価
その他の債権:売掛金、賃貸収入等

強制執行の特徴
・養育費は将来分も含めて差し押さえ可能
・給与差し押さえは退職まで継続
・相手方の合意なしに実行可能

2020年4月施行の民事執行法改正の効果
・財産開示手続きの申立て要件緩和
・第三者からの情報取得手続きの新設
・銀行や証券会社からの口座情報取得が可能

これらの改正により、相手方の財産隠しに対する対抗手段が強化され、養育費の回収がより確実になりました。

実効性を高めるポイント

早期対応:滞納が長期化する前の迅速な手続き
証拠保全:相手方の勤務先や財産に関する情報収集
専門家活用:弁護士による適切な手続き選択

養育費の未払いが発生しても、これらの法的手段を適切に活用することで、養育費の回収は十分に可能です。

本人同士のみで解決できない場合は、早めに弁護士に相談すると良いでしょう。

まとめ│養育費の計算方法と養育費算定表のポイント、将来の養育費未払への備え

養育費の計算方法について詳しく解説してきました。適正な養育費の算定は、算定表の活用と基本的な計算原理の理解が重要です。

まず、養育費 計算方法の基本として、基礎収入の正確な算出が欠かせません。給与所得者では38~54%、自営業者では48~61%という基礎収入割合を年収に応じて適用し、その後に子どもの生活費指数(14歳以下:62、15歳以上:85)を用いて段階的に計算を進めることで、正確な養育費算定が可能になります。

2019年12月に改定された最新の養育費算定表は、従来よりも実態に即した金額算出を可能にしており、子どもの人数・年齢に応じた適切な表を選択し、両親の年収の交差点を確認することで迅速に目安を把握できます。ただし、養育費算定表には限界もあり、4人以上の子どもがいる場合や高額所得者のケース、家族構成に変化が生じた場合などでは、個別の計算や専門家への相談が必要になることも理解しておくべきでしょう。

さらに重要なのが、適正に算定された養育費を確実に履行させるための仕組み作りです。公正証書の作成により強制執行の準備を整え、万が一の不履行時には履行勧告、履行命令、強制執行という段階的な対応が可能になります。養育費の正しい計算を行うためには、最新の源泉徴収票や確定申告書の準備、給与所得者・自営業者の正確な分類、子どもの年齢に応じた養育費算定表の選択、特別事情の有無の確認、将来の変更可能性の検討といった要素を総合的に考慮することが求められます。

養育費は子どもの健全な成長を支える重要な資金です。適正な計算により、子どもの利益を最大限に保護し、親としての責任を果たすことができます。

複雑なケースや養育費算定表だけでは対応が困難な場合は、専門家への相談が有効です。特に、養育費の未払い問題は多くのひとり親家庭が直面する深刻な課題となっています。

当事務所では、このような養育費の問題を重要な社会課題と捉え、以下のような特長を持つサービスを提供しています。

ホライズン法律事務所の未払い養育費に関する5つの特長

  • 相談が無料でできること
  • 万が一、養育費の回収ができなかった場合、ゼロ円(無料)で済むこと
  • 1200人以上の、ひとり親の皆さまに寄り添い、養育費を回収し、お渡ししてきた実績があること
  • スマホのみでおおむね完結でき、忙しくても問題がないこと
  • 元配偶者との交渉を弁護士に一任できること

当事務所では無料相談を実施しており、成功報酬制のため初期費用のご負担はありません。ぜひお気軽にご相談ください。適正な養育費の確保により、お子さまの明るい未来を一緒に守っていきましょう。