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養育費はいつまで支払われる?子どもを養育する母の立場からの視点で、弁護士が解説

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更新日:2024.08.30

養育費はいつまで支払われるのかを、今回は、子どもを養育する「母」の立場からの視点で、ケース別に弁護士が解説します。また、養育費の支払い期間、増減額などの変更手続き、未払い時の対処法など、よくいただく質問についても解説いたしますので、ご不安やご不明な点がある方は、ぜひ、ご参照ください。

養育費は、いつまで支払われる?法律上は、どのように決められている?

まず、結論からお伝えすると、養育費は20歳まで支払われるとされているケースが多いといえます。ただ、法律上明確に、いつまで支払うものと定めた条文などはありません。

そもそも、養育費とは、子どもを監護・教育するために必要な費用のことをいいます。
一般的には、経済的・社会的に自立していない子どもが自立する(例えば、大学等を卒業する)までに要する費用を意味し、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれに当たります。
また、親の子どもに対する養育費の支払義務(扶養義務)は、親の生活に余力がなくても自分と同じ水準の生活を保障するという強い義務(生活保持義務)だとされています。
(法務省資料より一部引用)

多くの場合で20歳までとされていたのは、2022年3月まで、成人が20歳とされていたからでしょう。
また、養育費をいつまで支払うべきかは、法律上明確に「何歳まで」と定められているわけではありません。養育費をどのくらいの期間支払うかは、夫婦間の合意によって決まります。
ただし、先ほどご説明したとおり、子どもを監護・養育しない側の親は「子どもが、経済的・社会的に自立していない子どもが自立する」までの期間、養育費を支払うべきであるといえ、夫婦間の合意によって決まるといっても、完全に自由というわけではありません。

また、養育費の支払期間や金額は、一度決めたものでも途中で変更することも可能です。
そこで、さまざまなパターンを想定し、各状況ごとに、順に解説します。

養育費はいつまで支払われる?┃子どもが18歳になったら?成人年齢引き下げの影響は?

上述のとおり、養育費の支払は、子どもが20歳になるまでとされるケースも多いといえます。20歳までとされていたのは少し前まで、法律上、成人年齢が20歳であったことも大きな要因のひとつです。
一方で、2022年4月から成人年齢は18歳に引き下げられました。これにより、養育費の支払は、18歳までとなるのか?といったご質問をいただくことがあります。

結論から申し上げると、あくまで弊所の見解となりますが、成人年齢が18歳になったからといって、養育費の支払期間を子どもが18歳になるまでとすることは妥当ではないと考えます。

先ほどご紹介したとおり、養育費とは、子どもを監護・教育するために必要な費用のことをいい、経済的・社会的に自立していない子どもが自立するまでに要する費用を指します。

一方、現在の日本においては、高校を卒業した子どもの進路は、60.8%が大学へ進学し、20.3%が専修学校・公共職業能力開発施設等へ進学しています。
したがって、80%以上が、まだまだ、経済的・社会的に自立しているとはいえない状況だからです。
参考:高等学校卒業者の学科別進学状況┃文部科学省ウェブサイト

成人年齢の引き下げは、選挙権の拡大や、他の国々に成人年齢をあわせるためという背景があり、どちらかというと18歳、19歳の方々の権利を拡大するという意味合いが強い一方で、経済的な自立という意味では、8割以上の方が、依然として学んでいる最中であることから、養育費が必要な状況であるといえます。

また、法務省は、成人年齢の引き下げよりも前(2022年3月以前)に、養育費の支払終期を「成人に達する日の属する月まで」と合意していたケースにおいては、合意当時の成人年齢(20歳)までの支払を合意したものと考えられるため、養育費の支払期間が18歳までに当然に短縮されるわけではないとの見解を示しています。
参考:民法(成年年齢関係)改正 Q&A┃法務省ウェブサイト

この点、弊所における実際の経験に基づく所感となりますが、最近の養育費調停手続においては、「18歳以降最初に到来する3月まで(ただし、その時点で大学等に進学している場合、大学等卒業月まで)」との条件を提示されることが多い印象です。
もっとも、大学浪人期間中はどのように考えるべきか、実際に就職等した段階で減額調停などの手続きによるべきではないか、との問題点があると考えており、弊所としては、より良い条件を求めていくべく尽力していきます。

養育費はいつまで支払われる?┃子どもが大学に進学した場合は?

これまで、ご紹介してきたとおり、養育費の趣旨は、子どもを監護・教育するために必要な費用のことをいい、経済的・社会的に自立していない子どもが自立するまでの間、支払われるべきものであり、養育費の支払義務(扶養義務)は、親の生活に余力がなくても自分と同じ水準の生活を保障するという強い義務(生活保持義務)です。

この前提で考えた場合、18歳になり、大学に進学した子どもが経済的に自立できているかというと、なかなか難しいケースが多いといえるでしょう。
子どもが、大学に進学しつつ、アルバイトなどをしているケースもあるかと思いますが、それによって、経済的自立が充分にできている状況とは考えづらいです。
アルバイト収入の分、多少の調整の余地はあるとしても、基本的には養育費は支払われるべきかと考えます。

また、養育費の支払終期を20歳までとしていた場合であっても、子どもが大学に進学した場合、養育費の支払延長を求めることも可能です。
特に、元パートナーなどが、大学の進学を承諾していた場合は、養育費の支払期間の延長や、授業料、交通費、テキスト代その他の費用の支払について、大学卒業まで、養育費として分担することを求めやすいといえます。
ただし、このように養育費の延長や増額を求める場合、双方での話し合いを経て合意するか、話し合いだけでは合意できない場合には、自分で、または、弁護士に相談するなどして、相手の住所地を管轄する家庭裁判所へ、養育費に関する調停の申立てをする必要があります。

裁判例としても、22歳に達した後の3月まで、養育費の延長を認めたケースがあります。
このケースは、養育費として、子どもが成人に達する日の属する月まで、1人あたり月5万5000円ずつ支払うことが定められている中で、子どもが、私立大学に進学したことを理由として、私立大学の学納金の分担と、養育費の支払終期を22歳に達した後の3月まで延長することを求めたという事例です。
裁判所は、①子どもが成人後も大学生であって、現に大学卒業時までは自ら生活をするだけの収入を得ることはできず、なお未成年者と同視できる未成熟子であること、②養育費支払義務者が大学卒の学歴かつ高校教師としての地位を有していることなどを理由に、養育費の支払終期を22歳に達した後の3月まで延長することが相当であると判示しています。(東京高裁平成29年11月9日決定・判タ1457号106頁)

また、養育費は、監護・養育している親からの請求のみならず、子どもから請求することもできます。この場合も、まずは当事者間で話し合いを行い、合意できない場合には、自分でもしくは弁護士などに相談し、家庭裁判所へ申立てを行うという手続きになります。

※双方の親の資力や、学歴、双方の親の状況(再婚の有無など)によっては養育費の延長や増額が認められないケースもあります。

養育費はいつまで支払われる?┃子どもが大学院や海外に進学・留学した場合は?

子どもが大学院に進学した場合も、大学に進学した場合と同様に、学ぶことが本分であり、経済的な自立はしていないといえます。

ただし、大学院へ進学するケースは、大学への進学率と比較すると少ないといえます。
文部科学省が発表している令和5年度学校基本統計によると、大学へ進学し卒業した者のうち、さらに大学院へ進学する割合は、12.5%です。
参考:令和5年度学校基本統計┃文部科学省

大学を卒業しないで中退する方なども想定できることから、子ども全体でみれば大学院まで進学するのは、5%前後という数値であると類推できます。
統計的にも大学院までの進学率は高くはないことから、比較的、大学院進学時の養育費までは認められ難いといえます。

留学費用についても、同様のロジックで、認められ難い傾向があります。
大学生のうち、海外留学経験のある大学生の割合は、約3.9%程度です。(令和元年度学校基本調査及び、2018年度 日本人学生留学状況調査結果より試算/コロナ前のデータで試算)
参考:令和元年度学校基本調査┃文部科学省
参考:2018年度 日本人学生留学状況調査結果┃独立行政法人日本学生支援機構資料
したがって、海外留学をする人の割合はかなり少ないといえます。

ただし、元パートナーが大学院への進学や海外留学を承諾している、資力がある、元パートナー自身が大学院卒の学歴である、海外留学をした経験がある等の場合には、大学院に進学した場合や海外留学時の養育費の延長や増額についても認められやすくなると考えられます。
この点、次のような裁判例があります。

当事者間で「3人の子の大学進学についての教育費全額を負担し、かつ、子の養育費として月額50万円を払う」という終期の定めのない養育費の合意をしていた事案です。
裁判所は、大学教育が相当普及していることや義務者である父の資力を考慮して、この養育費の終期は、大学ないしこれと同程度の高等教育課程を修了するまでとし、スイスの教養専門学校の1年の留学課程の修了をもって養育費の終期とする旨判示しました。(東京地裁平成4年2月28日判決・判タ796号206頁)

養育費はいつまで支払われる?┃子どもが就職した場合は?

養育費の趣旨に鑑みると、子どもが就職した場合にはどうなるのかが気になる方もいらっしゃるでしょう。

高校を卒業し就職した場合には、子どもは、経済的にも、社会的にも自立したとみなすことができます。
したがって、18歳で成人を迎え、高校を卒業し、就職した場合には、就職した時点以降につき養育費をもらえなくなる可能性が高いと考えられます。

ただし、あくまでも、養育費の支払は双方の合意によって増減等を決めるべき事項であるため、子どもの就職後についても、その事情を伝えたうえで、引き続き同居しており生活費は負担している等を理由として、養育費の支払いを求めてみることも選択肢の一つかと思います。

子どもを監護・養育する側(多くは母側)が再婚した場合、養育費はどうなる?

子供を監護・養育する側が再婚した場合の養育費について、再婚をしたという事実だけでは、大きな変更を及ぼすものではありません。
一方で、子どもが、母などの再婚に伴い、新たな伴侶との間で養子縁組をした場合などには「事情の変更」があったと認められやすい状況になります。

養子縁組をしたケースにおいては、再婚し養子縁組をした男性(養父)が、第一次的な扶養義務者となるからです。
その結果、離婚した元パートナーは、養育費の支払につき免除される可能性があります。(再婚した男性などが、自分と同じ程度の生活環境を提供できる資力がない場合などは、養育費の支払などが免除されない可能性もあります。)

一方で、再婚をしたとしても、養子縁組をしていない場合は、養育費の支払につき原則として免除されません。
ただし、養子縁組事体はしていないものの、生活をともにし、事実上扶養されている場合などは、やはり養育費の支払は免除される可能性があります。

なお、再婚をしたとしても、合意書などで、再婚したことを報告する旨を約束していなければ、再婚したことを報告する義務はなく、報告しなかったことによって罰せられることはありません。ただし、報告しなかった期間に支払があった養育費について、元パートナーなどから、支払義務がなかったとして返還請求を受ける可能性はあります。

子どもを監護・養育しない側(多くは夫側)が再婚した場合、養育費はどうなる?

次に、元パートナー側などが再婚した場合です。
この場合も、再婚したことだけを理由に、養育費につき減額や免除となるということはありません。ただし、次の3つのケースでは、養育費を減額される可能性があります。

①元パートナーなどの再婚相手が無収入(専業主婦、病気やケガなど)だった場合

再婚よって、元パートナーは再婚相手に対して扶養する義務を負います。(民法第752条)
また、元パートナーの再婚相手に連れ子がいたものの養子縁組をしていないケースであっても、再婚相手が何らかの事情で収入がない場合には、同じく再婚相手及びその家族に対する扶養義務が発生することになります。
これらのケースでは、元パートナーが再婚相手(ケースによっては、その連れ子についても)を養う必要が発生することにより、養う対象者が増えるため、一人あたりの養育費が減額となる可能性が出てきます。

ただし、元パートナーなどが養育費の合意から1年以内に再婚をしており、養育費の合意時に、実は、既に再婚をする予定などが決まっていたケースなどは減額が認められないケースもあります。

②元パートナーなどが、再婚相手との間に子どもを授かった場合

このケースでは、元パートナーに、新たに授かった子どもへ対する扶養義務が発生するため、扶養負担が大きくなることから、扶養対象者一人当たりの負担割合が減少するため、養育費の減額となる可能性が高いです。

③再婚相手の連れ子と養子縁組をしたケース

このケースでも同様に、元パートナーに、養子縁組をした子どもへ対する扶養義務が発生するため、扶養負担が大きくなることから、扶養対象者一人当たりの負担割合が減少するため、養育費の減額となる可能性が高いです。

どのくらい減額となる可能性があるかについては、上述の養育費算定表を用いて計算して把握することになります。
この場合も、上述の手順と同様に、双方の収入を計算し、子どもの人数と年齢から表を選択して、計算することとなります。

ところで、毎月の養育費は、いくらになる?

養育費の金額は、夫と妻、それぞれの年収と、子どもの人数や年齢によって相場が決まっています。
これは、養育費が、親の生活に余力がなくても自分と同じ水準の生活を保障するという強い義務(生活保持義務)だからです。

裁判所のウェブサイトには、「養育費・婚姻費用算定表」というページがあります。
このページの中にある「養育費算定表」を参照することで目安の金額を算出することができます。
養育費・婚姻費用算定表┃裁判所ウェブサイト

具体的なケースを想定し、解説いたします。

■具体例

・サラリーマンとして企業に務めている夫の年収:500万円
・パートとして働いている妻の年収:100万円
・子ども1人(年齢5歳)
といったケースの場合を想定します。

次に、養育費算定表の見方について、解説します。

■養育費算定表に記載のある言葉について

養育費算定表では、権利者と義務者という言葉が出てきます。
権利者とは、養育費を貰う権利のある側を指し、子どもを養育する側を指します。多くの場合、女性が権利者となります。

義務者については、子どもを監護・養育しない側が該当し、多くの場合、男性が義務者となります。

また、給与所得者とは、サラリーマンなどの企業で勤務する人を指します。

■具体的な養育費算定表を用いた養育費算定の手順

①裁判所のウェブサイトの養育費・婚姻費用算定表ページへアクセスします。
養育費・婚姻費用算定表┃裁判所ウェブサイト

②養育費算定表の選択
養育費算定表から、今回は、子どもが1人の場合の例として想定しておりますので、子どもが1人の場合の表を選択します。
また、子どもの年齢別に表が別れていますので、子どもの年齢にあった表を選択します。

③権利者について表を確認する
横軸の権利者の年収100万円部分を参照します。
なお、具体例をサラリーマンとしていますので、給与所得者部分を参照します。

④義務者について表を確認する
縦軸の義務者の年収500万円部分を参照します。
なお、具体例をパートとしていますので、給与所得者部分を参照します。

⑤交差する部分を参照し、目安となる金額を確認する
横軸の権利者の年収100万円部分と、縦軸の義務者の年収500万円部分から表の中で交差する部分を参照します。
このケースでは、色のついていない部分が該当し、4万円〜6万円といった記載が見つけられます。この金額が具体的な月額養育費の金額になります。

また、別の記事では、養育費がいくらになるのかを、より詳しく解説しておりますので、よろしければ、併せて、ご参照ください。
弁護士解説┃養育費は、いくら貰える?相場は?年収400万円、800万円、1000万円などケース別にも解説

養育費について、父母間で、今後一切請求しないという合意をしてしまっていた場合

養育費について、当時の父母間の力関係、離婚することを優先してしまった等によって、〇年〇月〇日以降は一切、養育費を請求しないという合意や、一般的な相場と比べて、著しく低い金額などで合意してしまっているケースもあります。

このような場合、打つ手がないかというと、そんなことはありません。
養育費は、父母間の合意によって成立するものですが、だからといって、子どもからの扶養請求権に影響を与えるものではなく、扶養の義務を免れさせる効果を持つものではありません。(宇都宮家審昭50・8・29家月28巻9号58頁、大阪高決昭54・6・18家月32巻3号94頁)

この点、養育費を請求しないという合意が個別事情により無効と判断される可能性もありますし、子ども自身から養育費支払義務者に対して、扶養料請求をすることは可能と考えられます。
法的構成など専門的な知見が必要となりますので、ご相談いただければと思います。

養育費の支払期間を変更する場合や増減額する場合の流れや手続きは?

ここまでで、子どもが成人した場合、大学や大学院に進学した場合、就職した場合、当事者のいずれかが再婚した場合などについて、解説してきました。
上記のようなケースに限りませんが、養育費の増額や、支払期間の延長を求めたいケースは想定できます。
いずれのケースでも流れや手続きは次のようになります。

①当事者間で話し合う(弁護士に相談し、裁判外にて任意に話し合う)
②調停を申立てて、調停の場で話し合う(弁護士に委任し、調停を申立てて話し合う)
③(調停が不調となった場合)養育費増額・減額審判に移行して、裁判所に判断を委ねる

①当事者間で話し合う(弁護士に相談し、裁判外にて任意に話し合う)

養育費は双方の合意により成立します。したがって、これまでにご紹介した成人したケースや大学などに進学したケース以外でも、当事者間で合意が成立すれば、いつでも養育費の増減額をすることができます。
合意ができた場合には、しっかりと書面を取り交わしておくと良いでしょう。

また、合意形成が難しいと思う場合、交渉に自信がない場合、相手方と話したくない場合などには、当初から弁護士に相談すると良いでしょう。

②調停を申立てて、調停の場で話し合う(弁護士に委任し、調停を申立てて話し合う)

当事者間で話合いができない場合は、調停を申し立てるという方法があります。
管轄の家庭裁判所に対して、申立を行い、裁判官や調停委員も交えて、話し合いを行います。

調停の申立ては、ご自身で行うこともできますが、家庭裁判所へ申立書を提出し、期日のたびに裁判所へ行く必要があります。
調停手続は、平日の昼間に、1か月~1か月半ごとに1回程度、手続が終了するまでに半年~1年ほどとなることが多いので、一定程度負担があるといえます。
また、増額を求める理由や背景、求める金額について、法的根拠・構成を適切に主張できないと増額が認められません。

申立書の書き方に不安がある場合、毎回の期日に仕事の関係で行きづらい場合、法的論理構成に不安がある場合、交渉に自信がない場合などは、弁護士に相談・依頼すると良いでしょう。

③(調停が不調となった場合)養育費増額・減額審判に移行して、裁判所に判断を委ねる

調停が不調(不成立)となった場合、自動的に審判に移行します。
審判では、裁判官が、調停の際に提出された証拠や、当事者双方の言い分などから、裁判官が一方的に判断を下すという手続きになります。

この裁判官の判断(審判結果)に不服がある場合は、即時抗告(不服の申立て)をすることができます。
この即時抗告が双方からなされないまま、送達から2週間が経過すると審判内容が確定します。

養育費が未払いの場合の対処法は?

残念なことに、そもそも、養育費が未払になっているというケースは少なくありません。
厚労省が発表する「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によれば、約75%の母子家庭が、養育費を受け取れていないという実態があります。
参考:「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」┃厚生労働省ウェブサイト

養育費の未払に対する対処法は大きくわけると、次の4つがあります。

・当事者間で話し合いをする
・家庭裁判所の履行勧告制度を利用する
・家庭裁判所の履行命令制度を利用する
・強制執行手続き(差押)を行う

当事者間で話し合いをしてみても難しい場合には、家庭裁判所の制度を利用する方法が考えられます。

履行勧告とは、家庭裁判所に、養育費の未払い分を、取決めどおりに支払うよう促してもらう制度です(家事事件手続法第289条)。
裁判所から、直接支払うようにという連絡がいきますが、強制力がないというデメリットがあります。

履行命令とは、家庭裁判所が相当と認めた場合に、支払うよう命令をする制度です。(家事事件手続法第290条)。この命令に従わない場合、10万円以下の過料の制裁がありますが、未払養育費の金額の方が大きい場合、10万円の過料を支払って終わりにしようと考えられてしまう可能性もあります。

強制執行(差押)は、とても強力な手続きであり効果的です。
また、2020年の民事執行法改正により、相手の勤務先や預金口座が把握しやすくなったことから、強制執行がしやすくなりました。
ただし、法律を学んだことのない人が、この手続きを行うのは、かなり高いハードルがあり、弁護士に依頼する必要性の高い手続きであるといえます。

したがって、養育費の未払いがある場合には、当事者間で話し合っても解決しない、または解決する見込が薄い場合には、早期に弁護士に相談した方がよいケースが多いといえます。
早期の必要性というのは、養育費には消滅時効があり、支払期限から5年が経過したものについては時効により消滅する、また、最終支払日から10年経過してしまうと、養育費請求権自体(基本権)が消滅してしまうリスクがあるため、早めの相談をお勧めしております。

ただし、弁護士費用は、通常、「相談料」「着手金」「報酬金」の3段階に別れるものであり、相談料の数万円と、着手金の数十万円は、もしも相手から取り返せなかった場合にも必要となるお金になるため、赤字になってしまうケースもあります。

この点、当事務所、ホライズン法律事務所では、養育費の問題を解決したいと悩む皆さまのために他の一般的な法律事務所では必要となる相談料・着手金を無料とした、完全成功報酬型の未払養育費回収サービスを実施しております。
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まとめ

養育費はいつまで支払われるものなのかを、子どもを養育する立場からの視点で、解説させていただきました。
養育費は、親の愛情を表現する方法でもありますが、悲しいことに、多くの母子家庭が養育費を受け取れていないという現状があります。

当事務所は、この問題を、大きな社会課題ととらえ、少しでもお役に立てるような報酬体系を実施しております。
ご相談は無料ですので、ぜひ、お気軽にご相談くださいませ。